産業廃棄物とは事業活動に伴って生じた廃棄物の中の、法令で定められた20種類のことを指します。一般廃棄物(家庭ごみ)として「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」等に分けられ、市区町村により回収されますが、産業廃棄物の場合は、民間業者が収集し分別を行います。
産業廃棄物の処理を民間業者に委託する際、『排出事業者』が専用の伝票を交付し、それを管理することによって適切に処理されていることを把握しなければなりません。この専用の伝票のことを「産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物管理票)」と言います。そしてこの伝票に基づき工程を管理し、責任を問われるのは廃棄物を発生した人『排出事業者』なのです。
『排出事業者』は「マニフェスト制度」に関する知識が無い為、それを代行する収集運搬業者が多く、スタンダードになりつつあります。 しかし、マニフェストの記載事項に関して責任を問われるのは『排出事業者』です。少しでも知識をつけて質問し、管理することが必要になってきます。
「産業廃棄物マニフェスト」の必要性

産業廃棄物処理にマニフェストは必要不可欠なものです。『排出事業者』は、民間業者と結んだ委託契約書に基づいて「産業廃棄物マニフェスト」を交付する必要があります。「産業廃棄物マニフェスト」には二つの役割があるからです。
1.物流管理票として運搬が確実に行われたことを証する役割
2.処分証明の役割
つまり、この伝票は適切に運搬したことと適切に処分をしたことを証明する役割があり、不法投棄がなく、何をいつ、誰が処理したのかという情報の証明になります。「産業廃棄物マニフェスト」の交付は『排出事業者』に課せられた法律上の義務で、『排出事業者』は民間業者に引き渡す際に、交付する必要があります。
「産業廃棄物マニフェスト」の歴史

産業廃棄物に関する正しい情報の伝達と適正な処理の把握を行うために作られた制度が、「マニフェスト制度」とです。
1990年 厚生省(現在の環境省)の行政指導によって運用開始
当時は、人の健康や環境に被害を生じるおそれのある特別管理産業廃棄物(爆発性や毒性のあるもののみ)がマニフェスト制度の対象となっていました。
2000年 適用範囲がすべての産業廃棄物に拡大

「マニフェスト制度」では、『排出事業者』は、伝票の交付後90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)に、委託した産業廃棄物の中間処理が終了したことを、確認する必要があります。また最終処分については、伝票交付後180日以内に確認する必要があります。上記の確認ができない場合、確認ができていない旨を都道府県や自治体等に報告しなければなりません。
「マニフェスト制度」の運用基準には次のことが定められています。
■廃棄物の種類ごとに交付
■運搬先の事業場ごとに交付
■廃棄物の引渡と同時に交付
■処理委託契約書とマニフェストの記載内容に相違がないこと
■マニフェストは5年間保存
「産業廃棄物マニフェスト」の流れ

では、どのようにマニフェストを使用するのでしょうか?
簡単に説明すると下記の流れになります
①発生現場(伝票A)⇒②運搬⇒③搬入(伝票B)④分別(伝票D)⇒⑤処分(伝票E)
①発生現場
『排出事業者』はA~Eの7枚綴りの伝票を準備し、必要事項を記入します。
②運搬(排出事業者から収集運搬業者)
『排出事業者』は伝票を収集運搬業者へ渡します。伝票Aが排出事業者の控え、残り6枚の伝票は収集運搬業者が次の工程へと持参します。
③搬入(収集運搬業者から中間処分業者)
収集運搬業者は中間処理業者へ廃棄物を運びます。伝票BはB1とB2の2種類があります。伝票B1は収集運搬業者の控えで、伝票B2は運搬が完了した証明として『排出事業者』へ送付します。
④分別(中間処理)
廃棄物は分別されて処理が行われます。伝票CもC1とC2の2種類があります。伝票C1は中間処理業者の控えで、伝票C2は収集運搬業者に渡します。伝票Dは中間処理が完了した証明として『排出事業者』へ送付します。伝票Eは最終処分が終るまで中間処理業者が保管します。
⑤処分(最終処分終了)
最終処分業者は処分が終了したら、中間処理業者へ報告します。伝票Eは最終処分が完了した証明として『排出事業者』へ送付します
「産業廃棄物マニフェスト」の種類
■電子マニフェスト
電子マニフェストとは、情報を電子化し、ネットワークでやりとりをすることで業務の効率化する仕組みです。
1998年より運用が開始され、 紙マニフェストに比べ、書類管理がしやすくなったことが最大のメリットです。ただし、電子マニフェストを利用するためには、電子マニフェストシステム(JWNET)へ加入する必要があります。
■紙マニフェスト
従来からある紙媒体(7枚複写A・B1・B2・C1・C2・D票・E票)に必要事項を記入し、収集運搬業者が各工程への配布を行います。『排出事業者』はその伝票を5年間保存します。
電子マニフェスト制度と違い、労力や人為的ミスが起こりやすく小規模な廃棄に適応される場合が多いです。
「産業廃棄物マニフェスト」の罰則

マニフェストを交付しなかったり、虚偽の記載、記載義務違反および保存義務違反など、マニフェストに基づく義務を守らなかった『排出事業者』は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑罰が科されます。
また不適切な処理が行われた場合、都道府県から措置命令を受け、5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金又はその両方が科せられることになります。
ただし、『排出事業者』が産業廃棄物を自ら処理する場合には、マニフェストの交付は不要です。
排出事業者は入念にチェックしましょう
『排出事業者』が「産業廃棄物マニフェスト」を作成する義務があるのは理解できたが、やはり時差で作成するのは難しい場合は、収集運搬業者に依頼しても問題はありません。
その収集運搬業者が作成した「産業廃棄物マニフェスト」をチェックして質問することが大切なのです。
■「産業廃棄物マニフェスト」の有無
伝票を自分の目で確認しましょう。自社で処分する場合以外は必ず必要です。また、伝票は7枚綴りで複写となるため、内容は同じものでなければなりません。
■「産業廃棄物マニフェスト」の記載事項の確認
数量が書いていなかったり、品目や各住所が違っていたりの人為的ミスはよくあります。また、収集運搬業者や処分業者欄が空欄なこともあります。本来はすべての項目が記載してなければなりません。ルールが明確になっていませんが、事前に報告をしてもらえるように詳細を打ち合わせしてください。
■「産業廃棄物マニフェスト」の返送
『排出事業者』は伝票Aの他に返送される伝票B2、D、Eの保管が必要です。保管漏れや保管しなければならない伝票を間違えている場合があります。5年間保存しておかなければならないマニフェストは4枚で、A、B2、D、Eだと覚えておきましょう。
■「産業廃棄物マニフェスト」と契約内容の相違
よく見かけるケースとして契約書と合わないマニフェストを発行している場合があります。見積書を更新して契約を取り交わしたのに、マニュフェストは変更しなかったり、品目の追加を忘れたりとちぐはぐになっている場合があります。「産業廃棄物マニフェスト」と契約内容を突き合わせて確認する必要があります。
良い業者の選び方とは

収集運搬業者に限らず、安易に『専門家に任せておけば安心』と思ってはいけないということです。稀ではありますが、知識がない許可業者も存在するのが現実です。
また、契約書を作成する部署とマニュフェストを作成する部署が違い、事務的に処理している会社もあります。『排出事業者』が気が付かないうちに、違反をしてしまっている可能性もあります。
まずは、ミスが起こらないように「産業廃棄物マニフェスト」のチェックすることが必要です。そしてそのチェック体制に根気よく付き合ってくれる業者を選び、お互いに信頼できる関係を築きましょう。