「原状回復」って何だっけ?
退去時の相談の多くは「原状回復」に関することです。曖昧すぎてわからない方がほとんどなのに、引越し費用以外に出費が重なります。
まずは「原状回復」の言葉の意味と必要性を確認しましょう。
「原状回復」の意味

年数が経つにつれて建物やその設備は老朽化が進みます。そのため、退去時には入居時の状態に戻す必要が出てきます。
「現状回復」との違い

読み方は同じですが、「げんじょうかいふく」は2種類あります。
「現状回復」・・・今の状況に回復する(戻す)ことです。
「原状回復」・・・最初にあった状態に回復する(戻す)ことです。
入退去に伴う表現としては「原状回復」が正しい表現になります。
住宅・オフィスや店舗の「原状回復」の違い

住宅・・・賃貸住宅物件は、生活空間です。長年住むことで汚れや劣化が生じます。住宅物件における「原状回復」とは、「通常損耗(生活による汚れ)」や「経年劣化(設備仕様による劣化)」を除いた、故意や過失によって生じた汚損や破損を修復します。
オフィスや店舗・・・営利目的の業務を行い、不特定多数の人が出入りする空間です。賃貸住宅物件と違い「通常損耗」や「経年劣化」も含めて「入居した時の状態に戻す」ことを表します。
「原状回復」について相談が多いBIG3

「原状回復」は理解できたが、具体的にどんなことをしなきゃならないの?と疑問が多くあると思います。
ここでは私達専門家に寄せられる相談項目のうち、特に多いBIG3を解説します。
1位 「原状回復」の相場は?なぜ高い?

やはり、第1位はお金の相談です。退去するのにお金をかけたくないと思うお客様がほとんどです。「原状回復」は壊す作業なので作業員の人件費がメインになり相場が分かりづらいのがものです。退去時になってから慌てるのではなく、事前に想定しておくことが重要です。
「原状回復」の相場
ケースによって原状回復費用の相場は異なりますが、一般的に住宅の場合は家賃の2〜3ヵ月分が最大と考えられます。喫煙する場合、子どもの落書きがある場合、長年住んだ場合は高価になる傾向になります。多くの方が賃貸契約時の敷金で補填します。つまり、「原状回復」が発生しても、敷金額内に収まれば、新たな出費は発生しません。
オフィスや店舗の場合は契約書が全てです。入居時にかかった工事費用と同等程度かかる場合もあります。貸主・借主双方に相場がわからないと交渉が難しくなります。
相場を知らないまま交渉をしても、提示金額の妥当性を判断できず、交渉が決裂してトラブルになってしまうケースが見られます。
※賃貸契約内容を確認し、業者から見積もりを取りましょう。
相談例1:工事をする時間帯で割増料金になるケース
「原状回復」の見積もりを確認してみると、工事費用が想定よりもずいぶん高いと感じたというご相談があります。
貸主や周辺住民の方との折り合いにより、工事をする時間帯が夜間になる場合があるのです。夜間での工事の場合は作業者の人件費も高くなるため、費用が割高になっているケースが多いです。
相談例2:交渉に応じてもらえないケース
貸主に「原状回復」の交渉したが、応じてもらえなかったというご相談があります。
入居時の賃貸契約書に記載してある内容の理解が貸主・借主で相違がある場合です。「原状回復」の内容に入居前からあった傷などまで及んでしまったケースです。貸主によっては借主に強制する場合もあります。話し合いすらしてもらえない場合があるので、貸主との良好な関係を普段から心がける必要があるのです。
相談例3:業者の指定があるケース
指定内装業者から「原状回復」の見積書が届き、想定よりもあまりに高額で適正なのかとご相談があります。見積もり内容が適正ななのか、指定内装業者に交渉が可能なのかを教えてほしいというケースです。他社から見積もりをもらい見比べることは可能ですが、トラブルになる可能性があります。賃貸契約書に指定内装業者がある旨の記載があれば、多少の交渉は可能ですが、他社に乗り換えることは難しいと思われます。
2位 「原状回復」の範囲は、どこまで?

契約時は想像もしていなかった「原状回復」のトラブルが襲ってきます。「原状回復」の範囲によって見積り金額にも大きな差が生まれます。借主・貸主双方ともに言い分がありますが専門家ではありません。専門家は契約書、図面の比較、法律によって根拠を提示します。実際にどこまで負担すべきなのかについては、専門家の意見を聞き、交渉する必要があります。
※貸主と普段からコミュニケーションを取り、不明点は専門家に相談しましょう。
相談例1:備品の交換範囲のトラブルケース
備品の中でも特に、蛍光灯に関する相談が多いです。「原状回復」には備品も含まれているため、蛍光灯が切れたままというわけにはいきません。貸主によっては新品に交換したばかりの蛍光灯もすべて交換が必要で費用負担を求められるケースもあります。
相談例2:求められている「原状回復」が不明確なケース
「原状回復」とは、どこまで戻さないといけないのかというご相談があります。賃貸契約書に記載がある、もしくは特約があれば大きな問題にはなりません。しかし、前項でも記載したとおり、貸主と借主の認識の相違がある場合が多いです。
具体的にはコンセントやスイッチの位置、水栓器具、室外機用の穴の埋め込みなど、多種多様です。
3位 「原状回復」の期限は、いつまで?

「原状回復」には、工事のタイミングが「退去後に実施する」「契約期間中に実施する」の2種類あります。もう一度、賃貸契約書を確認しましょう。
住居の場合には「退去後に工事を実施する」、オフィスの場合には「契約期間中に工事を実施する」ことがほとんどです。
※余裕を持って行動し、「原状回復」のタイミングを確認しましょう。
相談例1:「原状回復」に必要な期間がわからないケース
オフィスや店舗の場合は住宅の場合と勘違いしていて、慌ててご相談をされる方がいらっしゃいます。慌てて工事をすると夜間工事も発生したり効果になる可能性もあります。オフィスの「原状回復」に必要な期間は、オフィスの規模や状況によって異なります。早すぎることはありません。遅くても退去時の1ヶ月前までには相談する必要があるでしょう。
トラブル防止のために出来ること

私達が「原状回復」に関してのご相談を受ける場合は、すでにトラブルになっている場合も少なくありません。理由は退去に伴い貸主と借主双方の「原状回復」に対する認識の相違が露呈するからです。トラブルに発展した場合、法的な措置に発展する場合もあります。トラブルを深刻なものにせず、円滑な解決のために、事前に準備をしておきましょう。
注意1:賃貸契約内容を確認し、業者から見積もりを取りましょう。
賃貸契約書、契約当初の図面・現状の図面を準備して、もう一度確認しましょう。そして、業者に見積書を依頼し、事前準備で想定金額を出しておくことでトラブルを防止します。
注意2:貸主と普段からコミュニケーションを取り、不明点は専門家に相談しましょう。
賃貸契約書を確認しても不明確なことがあるかもしれません。貸主と打ち合わせの機会を持ち、お互いの認識の相違をなくし、不明点は専門家に相談することでトラブルを防止します。
気になる方は貸主と相談の上、細かい特約を決めておくこともおすすめです。
注意3:余裕を持って行動し、「原状回復」のタイミングを確認しましょう。
余裕を持って事前準備をすることで、慌てることなく、逆算して行動ができるようになることがトラブルを防止します。
賃貸物件は、【借りている大切な物件】という気持ちを忘れずに生活しましょう。そうすれば掃除もマメになり、お互い気持ちよく過ごすことができるのではないでしょうか。