
新店や移転に伴って、テナント物件をたくさん見学に行きますよね?立地や広さ、金額を確認して契約されていると思いますが、退去時のことは想像できていますか?
よくご相談を受けるのが、業務拡大や縮小による移転や閉店を考えたときの店舗の撤去方法です。
オーナーや管理会社である貸主側に明け渡す際、借主側は契約内容に従って「借りていた物件を契約当時の状態に戻す」義務が発生します。
では、「契約当時の状態に戻す」とはどのような状態をいうのでしょうか?
ここでは代表的な撤去方法として「スケルトン渡し」と「原状回復」について解説していきます。
「スケルトン渡し」とは

「スケルトン渡し」とは、コンクリート打ちっぱなしの状態で返却される物件のことで、壁紙やカーペット等の内装が施されていない状態に戻して明け渡すことを言います。
構造上の骨組みだけの状態なので人間の骨組みをイメージして「スケルトン」と呼ばれています。
本来は内装関係の部材は全て取り払い、天井はむき出し、床は土間、間仕切りもない、何もない状態のことです。
しかし、契約内容によっては天井や水回りはそのままでOKの場合もあります。
ほとんどの場合、賃貸契約を結んだ当時も「スケルトン渡し」であるため、自分たちの思い通りにデザインをして内装へのこだわりがあるので「契約当時の状態に戻す」には工事期間とコストが掛かります。
また、広さによってコストが大きく変わってきます。
・工事期間:1ヶ月以上
・コスト:坪当たり5万円~
アメリカでは「スケルトン渡し」が多く、日本でも異業種変更や店舗から事務所等への転用のしやすさから年々増加しています。
また、これから説明する「原状回復」での入退去時の廃棄物の削減へも繋がるという側面もあります。
「原状回復」とは

「原状回復」とは《今の状態》から《入居時の状態》に戻すことをいいます。
一般的には賃貸契約書の中でどこまで戻すか、いつまで完了すべきか等の範囲と期限が記載してあります。
これは事業内容によってデザインや用途が違うため、次の借り手が使いやすうように間仕切りや設備を撤去し、貸主に返すことが定められている場合がほとんどです。
「スケルトン渡し」とは違い賃貸契約書に記載されている内容で費用が変わってきます。
次の借り手が施工しやす状態まで戻す場合が多いですが、ビニルクロスやタイルカーペットには好みがあるのでせっかく新しいものに戻しても短期間で廃棄されてしまうこともあります。
まずは賃貸契約の内容を確認し、できるだけシンプルに「原状回復」ができるよう、貸主と打合せをしておく必要があります。
・工事期間:1週間程度~1ヶ月
・コスト:坪当たり2万円~
費用に関しては実際に見積もりをとって項目を確認しておくと安心ですね。
見積もりの際は賃貸契約書と図面があればスムーズです。
「原状回復」の代表例

下記1つの項目ではなく複数の項目が必要になってきます。
・ビニルクロス貼替
・タイルカーペット貼替
・塗装
・クリーニング
・什器・看板撤去 等々
「原状回復」の費用がかかる物件

油汚れが多く、煙や喫煙によるクリーニング費用がかかるます。また、設備では排水のつまり等の確認が必要で、特に厨房位置を変更している場合は高額になります。
・ラーメン屋
・焼肉屋
・居酒屋 等々
「原状回復」の費用がかかりづらい物件

人の出入りが少なく、汚れにくい事業では費用が軽減されます。しかし、個室等の間仕切りが多い場合は、費用がかさむ場合もありますので《今の状態》と《入居時の状態》の平面図で見比べる必要があります。
・カフェ
・事務所オフィス
・デリバリー専門店 等々
今からでも契約内容を確認しておこう!!トラブルを防ぐ、注意事項5点

【注意事項1】元の状態に戻せばいいとは限らない
店舗やオフィスとして物件を契約する際、退去時に借主側で「原状回復」をおこなうことが条件となっていることがほとんどです。
まずは賃貸契約書の内容をもう一度確認しましょう。
「借りていた物件を契約当時の状態に戻す」義務がどこまで、どのように発生するのか把握する必要があります。
【注意事項2】図面を確認しよう
専門的なことが分からなくても、図面があれば見比べることが出来ます。
《今の状態》と《入居時の状態》の平面図があれば、「原状回復」するのためのお見積りがスムーズです。
2件の工事会社からの見積り等があれば、具体的な比較検討もできるので詳細がわかりやすくなります。
【注意事項3】事業内容によって費用が変わる
上記で解説したとおり、店舗の広さや事業内容、契約内容によって異なります。
大きい店舗の焼肉屋を営んでおり、間仕切りで沢山の個室を作っていたり、空調や厨房位置の変更をしている場合には、コストが掛かります。
逆に小規模なオフィスで、ビニルクロスやタイルカーペットの交換だけであれば、コストが削減できる工事もあるのです。
【注意事項4】貸主としっかりコミュニケーションをとろう

一般的にオーナーや管理会社と蜜に連絡を取っている借主側は少ないと思われます。
契約内容や図面を確認すると不明確な点も見えてきます。
賃貸契約書には詳細が書いていない場合も多く、貸主側と借主側の解釈や認識の違いが大きなトラブルに発展します。
退去が近づいてからではなく、なるべく早くお互いに話し合いの場を設けて置くことがトラブルを防ぐ方法になると思います。
特に、賃貸契約書には記載されていなくても、周囲の店舗や住民に対して騒音や臭いのでる工事は影響を与えます。
店舗が多いビルでは休日を避ける、オフィスであれば夜間に工事を行う等、規制がある場合があります。
気になさるオーナーや管理会社も多いですし、工事会社の見積もりも変わってきます。
大型連休や入退去が多い時期は、工事会社の確保も難しくなるので注意が必要です。
すでに退去予定がある方は、貸主側との打合せの時間も必要ですので、遅くても2ヶ月前には準備を始めることをおすすめします。
【注意事項5】見積もりをとってシュミレーションしておこう
オフィスや店舗とマンション等の住居では原状回復のタイミングが違います。
住居の場合は契約期間終了後に行いますが、オフィスや店舗の場合は契約終了までに原状回復を完了させることがほとんどです。
万が一、契約期間内に工事が完了しない場合、完了するまでの賃料をテナント側が負担しなければならないケースもあり、また貸主側とのトラブル原因にもなりかねません。早めに準備しましょう。
工事の期間

オフィスの場合、騒音や臭いのでる工事は休日や夜間に行わなければならないことが多く、また3月やゴールデンウィーク・シルバーウィーク等の繁忙期には業者の確保も難しくなります。
貸主側との打合せの時間も必要ですので、2ヶ月以上前にはお問い合わせ頂くことをおすすめいたします。
違いがわかれば、トラブルを回避しスケジュールが見えてくる!!

今回は「スケルトン渡し」と「原状回復」について解説しましたが、専門過ぎてわからないこともあったかもしれません。
契約内容によってはトラブルに発展するケースもございます。
もし、気になることや不安なことがありましたら、私達専門家にご相談ください。
備えあれば憂いなし!!